2023年6月、「愚直に」を初めて訪問。

以前から気になっていた石かわグループの日本料理店です。

店名は「愚直に」。

実際にコースをいただくと、この名前がよく分かります。

料理にはしっかりと工夫がある。
でも、その工夫を見せることが目的ではありません。

香り、食感、温度。
素材のおいしさをどこまで引き出せるか。

一皿ずつ、まっすぐ料理に向き合っている印象を受けました。

お店について

神楽坂4丁目、近江屋ビルの4階。(現在は神楽坂6丁目のNEO神楽坂へ移転しています。)

店内は白木のカウンターが中心。余計な装飾を抑えた静かな空間です。

料理人の仕事を目の前で見ながら料理を待つ時間も、この店の楽しさの一つでした。

店主について

店主は大塚将人氏。

1988年、長野県生まれ。料亭や海外事業などを経験した後、石かわグループへ入り、2020年の「愚直に」開業時から店主を務めています。

公式サイトでは、色や派手さに頼るのではなく、香り、食感、温度の調和からおいしさを組み立てるという考え方が示されています。

この日の料理にも、その考え方がよく表れていました。

この日のおまかせ

鮑の蒸し寿司 赤雲丹、あおさ海苔、肝ソース

コースのスタートは鮑。

柔らかく蒸した鮑に赤雲丹。
下には米を合わせ、あおさ海苔と肝のソースを添えています。

鮑の食感。
雲丹の甘み。
肝と磯の香り。

最初から海の旨味を重ねますが、重たさはありません。

当時の同時期のコースでも「鮑の蒸し寿司、赤ウニ、あおさ海苔、肝ソース」と記録されています。

長良川の天然鮎 九条ねぎ、黄身酢

続いて天然鮎。

鮎は揚げることで頭から尾まで香ばしく。
九条ねぎと黄身酢を合わせています。

鮎特有の苦味を隠しません。

香ばしさ、苦味、ねぎの香り。
そこに黄身酢の丸みが加わります。

夏らしい一皿でした。

鰯のつみれ椀 能登のもずく

お椀は鰯のつみれ。

大きなつみれですが、口に入れると驚くほど柔らかい。

鰯の香りをきちんと残しながら、出汁は澄んでいます。

能登のもずくの細い食感が入り、魚の旨味の強さに軽さを加えていました。

鱧と紫雲丹

皮目を炙った鱧に紫雲丹。

鱧は梅醤油やおろしポン酢と合わせる構成。

淡白な鱧に、雲丹の濃厚な甘み。

夏の定番素材同士ですが、両者を一緒に食べさせることで味に厚みが出ます。

縞鯵 ねぎと茗荷

続いて縞鯵。

ねぎと茗荷をたっぷり使い、薬味のゼリーを合わせています。

脂のある縞鯵に薬味の香りと清涼感。

魚の力強さを残しながら、後味はすっきり。

暑い時期にとてもよく合う仕立てです。

北海道の時知らず 辛味大根餡、木の芽

焼き物は北海道の時知らず。

脂をしっかり蓄えた身を焼き、辛味大根の餡を合わせます。

魚にはかなり脂があります。

そこへ大根の辛味を入れることで、味が締まる。

木の芽の香りもよいアクセントでした。

更科そば 秋田のじゅんさい、花穂紫蘇、すだち

ここで冷たい更科そば。

秋田のじゅんさいをたっぷりと添え、花穂紫蘇とすだち。

時知らずの後に、この一皿が入るのがいい。

じゅんさいのつるりとした食感。
すだちの酸味。
花穂紫蘇の香り。

コースの流れを一度リセットしてくれます。

賀茂茄子と伊勢海老

続いて賀茂茄子。

写真では、賀茂茄子に伊勢海老を合わせた一皿だったことが確認できます。

茄子は出汁を吸わせ、伊勢海老の甘みと合わせる。

夏の京野菜に、力のある海の素材をぶつける構成です。

とうもろこしと牛肉の土鍋ご飯

締めは土鍋ご飯。

蓋を開けると、一面にとうもろこし。
そこに牛肉と青い薬味が入ります。

当時の記録では、牛肉は赤牛をしゃぶしゃぶにしたもの。

とうもろこしの甘さと牛肉の旨味。

一見かなり力強そうですが、薬味を入れることで最後まで食べ進めやすい。

夏の炊き込みご飯として、とても印象に残る締めでした。

汁物や香の物と一緒にいただきます。

マンゴーの甘味

最後はマンゴー。

マンゴーのアイスに、ヨーグルトとはちみつを合わせた甘味です。

マンゴーの濃い甘みにヨーグルトの酸味。

コースの最後としては素直で、気持ちよく終われました。

いただいたお酒

Yummies View

4.5 / 5

この店の訪問記

  1. 2回目の訪問4.5 / 5
    神楽坂|愚直に|長野への郷土愛を映す日本料理
  2. 初回訪問4.5 / 5この記事
    神楽坂|愚直に|素材に正面から向き合う、夏の日本料理