赤坂の「とゝや魚新」を訪れました。
赤坂で季節の日本料理をゆっくり楽しみたく、この日はカウンターを予約しました。
いただいたのは、夜会席「らん」15,000円。いちじく、鱧、松茸、太刀魚、賀茂茄子など、夏から秋へ移る時期の食材が並びました。
お店について
「とゝや魚新」は、明治23年に赤坂で創業しました。鮮魚店として始まり、その後は料亭への仕出しを経て、日本料理店へ。魚を中心に季節の食材を組み立てる、正統派の会席料理を提供しています。
店内はカウンター、テーブル席、8名掛けの個室があります。新しさを前に出した空間ではありません。木を基調とした昔ながらの日本料理店らしい雰囲気です。カウンターからは調理の様子も見えます。

料理長について
料理長は村松喜久夫さんです。
1966年、静岡県生まれ。高校卒業後は市場で働きながら調理学校に通いました。
魚を見て、触れる仕事を続けるうちに、その先にある料理の世界へ興味を持ったそうです。
その後は東京の日本料理店で修業。カウンター割烹やふぐ料理店などで料理長を務めた後、「とゝや魚新」に入りました。
鮮魚店を原点とする店で、市場で魚を学んだ村松料理長が腕を振るう。その経歴にも、この店らしさを感じます。
この日の料理
この日は、夜会席「らん」をいただきました。
いちじくの酒蒸しと合鴨
先付三品の最初はいちじくの酒蒸しと合鴨です。
いちじくの自然な甘さに、合鴨の旨味を合わせています。果物を使っていますが、甘さが前に出すぎない仕上がりでした。

冬瓜と筑紫昆布
二品目は冬瓜と筑紫昆布。冬瓜のやわらかな食感を昆布の旨味で食べさせます。静かな味わいで、次の料理へ自然につながります。
穴子と蓮根の揚げおろし、新銀杏
三品目の穴子と蓮根の揚げおろしには、新銀杏が添えられていました。
穴子はふっくら。蓮根の食感が加わり、大根おろしと出汁で後味を軽くしています。

鱧と松茸のお椀
お椀は鱧と松茸。
澄んだ出汁の中に松茸の香りが広がります。鱧のやわらかな身との組み合わせも、この時期らしいものでした。

平目と鰹のお造り
お造りは平目と鰹です。
淡白で弾力のある平目と、味の濃い鰹。二種類の違いがはっきりしていました。

太刀魚の塩焼き
焼物は太刀魚の塩焼きです。
皮目は香ばしく、身はやわらか。塩で太刀魚の脂と旨味をそのまま味わう、シンプルな仕立てです。

賀茂茄子、鰊、青梗菜の炊き合わせ
炊き合わせは、賀茂茄子、鰊、青梗菜。
出汁を含んだ賀茂茄子に、鰊のコクを合わせています。青梗菜の食感が全体を重たくしません。

松茸の土鍋ご飯
ご飯は松茸の土鍋ご飯でした。コースで最も印象に残りました。
蓋を開けると松茸の香りが広がります。米にも出汁と松茸の風味が入り、締めの食事として満足感がありました。


ブルーベリーアイス、桃のミルク餅
甘味はブルーベリーアイスと桃のミルク餅。
ブルーベリーの酸味と、桃のやさしい甘さで食事を終えました。

Yummies View
魚を軸に、季節の食材を素直に味わえる正統派の会席です。
出汁や焼き加減、炊き方を大切にした料理の味は非常に良く、中でも松茸の土鍋ご飯は深く記憶に残る逸品でした。老舗ならではの落ち着いた風情も感じられます。
評価を3.5とした理由は、味や仕立ての満足感に対して、店内の照明や全体の雰囲気がどこか暗く感じられたためです。料理の質や風情が良いだけに、空間全体の明るさや活気がもう少し加わると、より心地よく過ごせる印象を受けました。
夜会席「らん」(15,000円)は、品数・食材・内容ともに十分な満足感があります。赤坂で静かに本格的な日本料理を楽しみたいときや、落ち着いた少人数での会食に向いている一軒です。
昼に来てみたら違う雰囲気が感じられるかもしれません。






