以前から訪れたかった、元麻布の「天 よこた」へ。

料理の味だけでなく、揚げの技術、店の雰囲気、横田さんの接客まで、すべてに丁寧さを感じる天ぷら店でした。

お店について

「天 よこた」を知るうえで、少し整理しておきたいのが「天冨良よこ田」との関係です。

「天冨良よこ田」は、横田省吾さんの父が興した天ぷらの名店。その後、経営が創業家の手を離れ、現在は多店舗展開されています。

一方、元麻布の「天 よこた」は、その多店舗展開されている「天冨良よこ田」とは別の店です。

父の店で培われた天ぷらを礎に、横田省吾さんが自ら立ち上げたのが「天 よこた」。

公式サイトには「守り続ける事」と「進化し続ける事」の共存を掲げ、父の「天冨良よこ田」を礎としながら、「天 よこた」ならではの新しい江戸前天ぷらを目指すとあります。

単に父の店を再現するのではなく、受け継いだ技術を自分の料理として組み直している店、と考えるとわかりやすいと思います。

店内はカウンター8席のみ。楢材のカウンター、銅板の天井、織部色の陶板などを使った落ち着いた空間です。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 お店について

店主について

店主は横田省吾さん。父が興した「天冨良よこ田」を礎に、江戸前天ぷらの技術を受け継ぎながら、自身の店として「天 よこた」を営んでいます。

実際にカウンターに座って印象に残ったのは、料理と同じくらい、その接客でした。すべてのお客さんをきちんと名前で呼び、一人ひとりの食事の進み方にも目を配る。

丁寧ですが、堅苦しさはありません。8席だけの店だからできる距離感もありますが、それ以上に、横田さん自身が客との時間を大切にしていることが伝わってきます。

この日いただいた料理

この日は豪雨。タクシーがなかなかつかまらず、同行者が遅れて到着しました。

最初に出される予定だったぼたん海老の漬けには間に合いませんでしたが、事前にきちんと説明があり、我々は天ぷらからスタートしました。

車海老

「海老に始まり、海老に終わる」という江戸前天ぷららしく、最初は車海老から。衣は薄く、揚がりはとても軽い。油の重さをほとんど感じず、素材の味が前に出ます。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 車海老
軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 車海老

蓮根

衣の軽さに対して、蓮根のしっかりした食感。噛むほどに甘みが感じられます。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 蓮根

烏賊と大葉

烏賊の甘みに大葉の香りを合わせた一品。揚げ物でありながら、後味は軽やかです。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 烏賊と大葉

芋

じっくり火を入れることで、芋の甘さを引き出します。

シンプルですが、素材と火入れの良さがよくわかります。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 芋

帆立

この日、特に印象に残ったのが帆立です。一つ目は、衣をサクッと仕上げながら、中はレア感を残した火入れ。帆立の甘みとみずみずしさがしっかり残っています。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 帆立

帆立の磯辺揚げ

同じ帆立をもう一度。今度はさっと油を通した帆立を海苔で包み、手渡しでいただきます。海苔の香りが加わることで、先ほどとはまったく違う印象に。同じ食材を二つの仕立てで楽しませる構成が面白い。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 帆立の磯辺揚げ

挟み揚げ

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 挟み揚げ

椎茸

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 椎茸

穴子

コース終盤は江戸前天ぷららしく穴子。軽い衣とふっくらした身の組み合わせを楽しみます。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 穴子

車海老

最後は再び海老。海老から始まり、海老で締める流れです。卓上には藻塩、カレー塩、天つゆ、醤油が用意されています。今回は衣のサクッとした食感をそのまま楽しみたく、ほとんどを藻塩かカレー塩でいただきました。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 車海老

天丼

締めは天丼か天茶から選択。今回は天丼にしました。ご飯の量も選べます。サイズの異なる丼を実際に見せてもらえるので、量をイメージしやすい。こうした細かなところにも、この店らしい気配りを感じます。

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 天丼

甘味

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 甘味

この日いただいたお酒

軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 この日いただいたお酒
軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 この日いただいたお酒
軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 この日いただいたお酒
軽やかな揚げと、隅々まで行き届く仕事 この日いただいたお酒

Yummies View

印象に残ったのは、料理と接客に共通する丁寧さです。

天ぷらは衣が軽く、素材の持ち味を前に出す揚げ方。

特に帆立を二つの仕立てで食べさせる流れは、この日のハイライトでした。

そして横田さんの接客。

お客さんを名前で呼び、カウンター全体に目を配りながら、一人ひとりに自然に声をかける。

料理、空間、接客のどこか一つだけが突出するのではなく、店全体がきれいに整っています。

父の「天冨良よこ田」を礎にしながら、自分の店として作り上げた「天 よこた」。

その違いは、実際にカウンターに座るとよくわかります。

とても気持ちのよい時間でした。

次回の予約もその場でお願いしました。

Yummies Rating
4.5 / 5