恵比寿ガーデンプレイスにある「ガストロノミー ジョエル・ロブション」を訪れました。

石造りの古城を思わせるシャトーレストラン。その最上階に、ガストロノミーのダイニングがあります。

この日は、前菜2皿と魚料理、肉料理を選べるプリフィックスコースをいただきました。

日本の食材や和の要素を前に出すフレンチとは方向性が異なります。ソース、火入れ、食感の組み合わせで見せる、正統派のフランス料理でした。

お店について

恵比寿駅東口から、スカイウォークを通って徒歩数分。

恵比寿ガーデンプレイスの奥に、フランスの古城を思わせる建物が現れます。店へ向かう時間も含めて、普段の食事とは違う気分に切り替わります。

ダイニングはシャンパンゴールドと黒を基調とした空間には重厚感があります。華やかですが、空間には静けさがあります。料理だけでなく、建物、ダイニング、器、サービスまで含めて一つの体験が作られています。

気軽な会食というより、記念日や大切な相手を迎える日に選びたい店です。

公式サイトでは、世界各地に展開するジョエル・ロブションのレストランの中でも「最高峰のブランド」と位置づけられています。

『ミシュランガイド東京2026』では、創刊以来19年連続となる三つ星に選ばれています。

シェフについて

現在のエグゼクティブシェフは、関谷健一朗氏です。

2002年に渡仏し、2006年からパリの「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」に勤務。2010年に六本木店のシェフに就任しました。

2018年には〈ル・テタンジェ〉国際料理賞コンクールで優勝。2021年からガストロノミー ジョエル・ロブションの総料理長を務めています。

2023年には料理部門のM.O.F.を受章。2024年にはフランス農事功労章シュヴァリエを受章しています。公式プロフィール

この日の料理

この日は、前菜2皿と魚料理、肉料理を選べるプリフィックスコースを注文しました。

手長海老と雲丹 ベシャメルソースのゴーフレット

最初の一皿は、手長海老と雲丹を使ったゴーフレットです。

香ばしく焼かれた生地に、濃厚なベシャメルソースと雲丹を重ねています。サクッとした食感のあとに、海老と雲丹の旨味が広がります。

小さな一口ですが、味と食感の組み立てが明確です。

キャビア・アンペリアル ロブションスタイル

ロブションを代表するスペシャリテです。

なめらかなカリフラワーのムースに、甲殻類のジュレとキャビアを重ねています。

キャビアの塩味、カリフラワーの甘味、ジュレの旨味が順番に感じられます。濃厚さだけに頼らず、それぞれの味がきれいに整理されています。

金華鯖と茄子のタルトレット バジルのピュレ

金華鯖の燻香と茄子の甘味を、バジルの爽やかさがまとめます。

鯖の脂はしっかりしていますが、重さは残りません。タルトレットの軽い食感も加わり、最初の前菜として食べやすい仕上がりです。

セップ茸のなめらかなリゾット 蓮根のエテュヴェ

セップ茸とパルメザンの香りを生かしたリゾットです。

米はなめらかにまとまりながら、粒の食感を残しています。そこに蓮根の歯ごたえが加わります。

クラシックな料理ですが、火入れと食感の細かな調整によって、最後まで単調になりません。

甘鯛と真つぶ貝のマリニエール サフラン風味

甘鯛は皮目が香ばしく、身はしっとりと火が入っています。

真つぶ貝の弾力が、甘鯛とは異なる食感を加えます。マリニエールソースの旨味に、サフランの香りが穏やかに重なります。

素材とソースの役割が分かりやすく、味が散らからない一皿でした。

和牛フィレ肉のソテー 黒胡椒を効かせたエシャロットと人参のオペラ添え

和牛フィレは中心まで均一に火が入り、やわらかさだけでなく肉の旨味も残っています。

赤ワインソースのコクとフォアグラの香りが肉に重なります。黒胡椒を効かせたエシャロットが全体を引き締めます。

フランス料理らしい厚みがありますが、各要素のバランスがよく、重たさを感じさせません。

チーズワゴン

キャラメルのスフレ 青森県産紅玉のソルベ

デセールは焼きたてのキャラメルスフレです。

生地はきめが細かく、口に入れると軽くほどけます。キャラメルの苦味に、紅玉のソルベの酸味がよく合います。

温かいスフレと冷たいソルベの温度差も楽しく、コースの最後まで完成度が崩れません。

デザートワゴン

Yummies View

5.0 / 5

味の設計、素材の扱い、火入れ、ソースの使い方。そのどれにも高い精度を感じました。

料理は華やかですが、見た目だけに寄っていません。皿の中心には、フランス料理の技術と骨格があります。

東京には、和の食材や考え方を取り入れた優れたフレンチが数多くあります。その中で、フランス料理を正面から見せるこの店の存在は明確です。

クラシックを守るだけではありません。古さを感じさせず、現在の料理として成立させています。

フランス料理の王道を味わいたい日に、最初に名前が挙がる一軒です。