西麻布の「No Code」を訪れました。
紹介制レストランとして人気を集めてきた一軒です。2025年6月からは「メキシカンフレンチ」を掲げ、一般予約を開始しました。
日本の旬の食材に、メキシコの食文化とフランス料理の技法を重ねる。
エスキーテスやアグアチレ、トスターダ、タコス、モレといったメキシコ料理を、一皿ずつコースとして組み立てていきます。
店内には、とうもろこしや唐辛子などの食材が並びます。料理が始まる前から、No Codeの世界に入り込んでいくような演出でした。
お店について
表参道駅から歩いて10分ほど。西麻布の「L’Effervescence」の先にあります。
店内はカウンターを中心とした落ち着いた空間です。

「No Code」という店名には、国やジャンル、固定観念に縛られず、新しい価値を生み出したいという思いが込められています。
以前は紹介制で、限られた日だけ営業していました。現在はメキシカンフレンチを新たな軸に据え、一般からの予約も受け付けています。
カウンターを囲む、ライブ感のある空間です。
料理に使うとうもろこしや唐辛子を実際に見せながら、一皿ごとの背景を説明してくれます。
味だけでなく、食材の歴史やメキシコでの食べ方まで知ることができます。
スタッフのサービスも丁寧です。終始、心地よく食事を楽しめました。

Informatn
店名 No Code
所在地 東京都港区西麻布2-25-31 クオーレ西麻布2F
アクセス 表参道駅から徒歩約10分、乃木坂駅から徒歩約12分
営業日 火曜日から土曜日。ディナーは2部制
ホームページ 公式Instagram
予約 OMAKASEまたはTableCheck
シェフについて
新しいNo Codeで厨房を任されているのは、久松暉典シェフです。

都内のフレンチレストランを経て、「Jean-Georges Tokyo」で米澤文雄シェフに師事しました。
青山の「The Burn」や、広尾の「OXOMOCO」でも経験を重ねています。2022年のNo Code開業時からスーシェフを務め、2025年6月にシェフへ就任しました。
フレンチだけでなく、メキシカンやアジアン、ヴィーガン料理にも精通しています。その幅広い経験が、現在のコースにも表れていました。
この日の料理
この日は、シグネチャーコースとペアリングをお願いしました。

冷製とうもろこしのスープ
最初は、メキシコのストリートフード「エスキーテス」をイメージした冷製スープです。


とうもろこしの濃厚な甘みに、ポップコーンやハーブ、オイルを合わせています。
一皿目からNo Codeらしい世界観が伝わってきます。
スズキのアグアチレ
スズキにメロンと大和橘を合わせたアグアチレです。

果実のみずみずしさと大和橘の爽やかな酸味が、スズキの上品な旨味を引き立てます。
清涼感があり、暑い季節によく合う一皿でした。
マグロのトスターダ
香ばしく揚げたトルティーヤに、マグロと発酵トマトを重ねています。

マグロの濃厚な旨味を、発酵トマトの酸味が引き締めます。
構成はシンプルですが、食感と味のコントラストが印象に残りました。
茄子のタコス
茄子にサルサマチャを合わせたタコスです。

香ばしさの中に、ほどよい辛味があります。とうもろこしの香りもしっかりと感じられました。
手で食べる楽しさも含め、メキシコの食文化を身近に感じられる一皿です。
あいなめ ベルクルスソース
魚料理は、旬のあいなめです。

トマトを使ったベルクルスソースに、ハラペーニョの爽やかな辛味を加えています。
淡白なあいなめに、トマトの酸味と辛味がよく合います。
メキシコらしさを出しながら、日本の魚の持ち味を損なっていません。
平田牧場金華豚 モレヴェルデ
この日のベストディッシュです。

柔らかく火を入れた平田牧場の金華豚に、青唐辛子やハーブを使った緑色のモレソースを合わせています。
豚の脂の甘みに、青唐辛子の辛味とハーブの香りが重なります。
モレと聞いて想像するような重たさはありません。香りは複雑ですが、後味は軽やかです。
メキシコ料理の要素とフランス料理の火入れが、きれいに一つになっていました。
素麺と山利の釜揚げしらす
締めは、素麺と山利の釜揚げしらすです。

一番出汁に、生のトマトや唐辛子を使ったサルサクルーダを合わせています。
意外性のある組み合わせですが、出汁の旨味とサルサの酸味が自然につながります。
和とメキシコの食文化が、一つの器の中で無理なく調和していました。このコースを象徴する料理です。
ブラン メスカルクリームとパイナップル
デザートは、ブランにメスカルクリームとパイナップルを合わせた一皿です。

パイナップルの明るい酸味に、メスカルの香りが穏やかに広がります。
最後までメキシコの余韻を残すデザートでした。
ペアリング
ペアリングはクレマンから始まり、日本酒、チリのシャルドネ、パタゴニアのピノ・ノワールなどが続きました。



料理との相性だけでなく、メキシコをテーマにしたコースの流れも意識した構成です。
ワインの産地にも広がりがあり、一杯ごとに料理の違った表情を楽しめました。
ペアリングまで含めて、No Codeの食体験が完成します。

日本の旬の食材を軸に、メキシコの食文化とフランス料理の技法を組み合わせた独創的なコースでした。
メキシコ料理の形だけを借りた料理ではありません。
エスキーテス、アグアチレ、トスターダ、タコス、モレ。それぞれの背景を理解した上で、日本の食材に置き換えています。
この日のベストは、平田牧場金華豚のモレヴェルデ。金華豚の甘みと青唐辛子、ハーブの香りが重なり、力強さと軽やかさを両立していました。
食材を使った店内の演出や、土地を意識したペアリングも印象的です。
料理だけで完結させず、店で過ごす時間全体を一つの体験にしています。
国やジャンルに縛られない。
「No Code」という名前を、そのまま料理で表現したレストランでした。