神楽坂「石かわ」へ二度目の訪問。
この日も、旬の魚介を中心に、鮎、すっぽん、鱧、丹波地鶏と、食材は豪華ですが、料理は足しすぎない。
出汁、火入れ、食感。必要なところだけ手を入れて、素材の味をきちんと残す。
今回も、素直に美味しいと思える料理でした。
お店について
神楽坂の毘沙門天の横を入ると到着。
アーケードを抜けて店内へ。カウンターでは、石川さんを中心に料理人が動く様子までよく見えます。
格式はありますが、空気は堅くありません。

店主について
店主は石かわグループを率いる石川さん。
料理について聞くと、産地や火入れの理由まで自然に説明してくれます。
その話を聞いてから食べると、同じ一皿でも見え方が少し変わります。石川さんは、料理をしながら客席もよく見ています。
会話の距離感も近すぎず、遠すぎず。
料理の説明も難しくありません。
なぜこの食材なのか。
なぜこの火入れなのか。
その理由が短い言葉で伝わってきます。
店の空気を作っているのも、料理と同じくらい石川さん自身なのだと思います。

この日の料理
島根の蒸し鮑ともち米

最初は、島根の蒸し鮑ともち米。
もち米は、石川さんが「日本一」と話していたもの。
鮑の旨味と、もち米のやわらかい甘さ。
派手な組み合わせではありませんが、最初から印象に残ります。
天然鮎

続いて、岐阜・和良川の天然鮎。
今回は頭と尾を外して焼きます。
石川さんによると、頭と尾を付けたまま焼くと、どうしても頭への火入れに引っ張られ、身まで硬くなりやすいそうです。
そこで身だけを焼き、ふっくらと仕上げる。
皮は香ばしく、身にはしっかり水分が残っています。
外した頭、尾、骨はカリッと揚げて別添えに。

これがまたうまい。
身のやわらかさと、頭や骨の香ばしさを別々に楽しめます。
かぶのお椀

次は、すっぽん出汁のお椀。
丸く抜いた蕪に、青柚子。
すっぽんの出汁には力がありますが、重さはありません。
蕪の甘さと青柚子の香りで、きれいにまとまっています。
うに、たこ刺身

明石蛸と余市の雲丹。
蛸はしっかり弾力がありながら、硬くない。
雲丹の甘さを合わせても、蛸の味が消えません。

気仙沼の鰹

鰹そのものの味が強く、薬味に負けない。
このあたりは、食材の力をそのまま出している感じがあります。
あら

続いて、秋田のあらに酒盗と神楽南蛮を合わせた一皿。
酒盗の塩気と発酵の旨味。
神楽南蛮の辛味が入り、日本酒がよく合います。

この日は酒も少量ずつ銘柄を変えながらいただきました。
中でも印象に残ったのが新政 No.6。
口に含むとわずかなガス感があり、軽やかな飲み口が印象的でした。料理の邪魔をせず、それでいて酒だけでもしっかり美味しい。
すだちのジュレ

甘貝、つぶ貝、蒸し雲丹に、すだちのジュレ。
貝と雲丹だけでは重くなりそうなところを、すだちの酸味が軽くします。
三豊茄子とキジハタ

香川県の三豊茄子とキジハタ。
淡白なキジハタと合わせても、茄子の存在感が残ります。
素麺

素麺には、蕪のみぞれ、鱧、キャビア。
見た目には華やかですが、味は意外と静かです。
鱧と蕪の淡い味に、キャビアの塩気を少し足す。
キャビアを前に出すのではなく、全体の輪郭を作る使い方でした。
ごはん

最後は炊きたてのコシヒカリ。鮭、卵料理、青菜、漬物、汁物と一緒にいただきます。
時鮭は焼きで。皮は香ばしく、身には脂があります。
万願寺唐辛子には、青紫蘇、梅、胡麻を合わせます。
玉子の下は丹波地鶏。旨味はしっかり。
いろいろ食べた後でも、白いご飯はやはり美味しい。
コースの最後がここに戻ってくるのも、日本料理らしくて好きです。
デザート

水菓子は、メロンと梨。そして、黒蜜寒天に青柚子とココナッツミルク。
和の甘味に少しだけ違う香りを加えています。
最後まできれいに終わりました。

二度目の石かわ。
今回も、素直に美味しかったです。
印象に残るのは、豪華な食材よりも、その使い方。
鮎は頭と尾を外して身をふっくら焼く。
キャビアも前に出しすぎない。
果物は、そのまま出す。
手はかけています。
でも、料理を複雑に見せようとはしない。
食材に必要なことだけをする。
その積み重ねが、石かわらしさなのだと思います。
また季節を変えて伺いたいです。