金沢の「乙女寿司」を再訪しました。

前回の訪問時に、この日の予約を取っていました。香港出張から帰国し、そのまま金沢へ向かいます。

ここまで予定を合わせてでも訪れたい店です。

冬の北陸で水揚げされた魚介を、つまみと握りで味わいました。素材の質はもちろん、火入れや包丁の入れ方にも細やかな仕事を感じます。

お店について

乙女寿司は、金沢の繁華街に近い木倉町にあります。

店内は昔ながらの鮨店らしい落ち着いた雰囲気です。大将の仕事を間近で見られるカウンターには、ほどよい緊張感があります。

派手な演出はありません。目の前の魚と静かに向き合う。そんな時間を楽しむ店です。

大将について

店主は鶴見和彦さんです。

29歳で先代から乙女寿司を継ぎ、現在の評価を築いてきました。魚介に恵まれた土地で、素材の鮮度だけに頼らず、食感を生かす包丁や火入れを重ねています。

鶴見さんが仕事で大切にしているのは、「瞬間、瞬間を大切に」すること。

同じ魚でも、その日の状態によって身質や脂の乗り方は変わります。状態を見極め、切り方や握る強さを調整する。口の中でシャリが軽くほどける握りにも、その考え方が表れています。

カウンターでは仕事に集中しながら、客とは近すぎず遠すぎない距離を保ちます。派手に見せるのではなく、魚が最もよい状態になるよう手を入れる。乙女寿司の静かな空気は、鶴見さんの仕事ぶりから生まれているように感じました。

この日の料理

つまみから始めていただきました。

ヒラメ

透明感のある白身です。しっとりとした食感で、噛むほどに穏やかな旨味が広がりました。

ぶりとガスえび

脂の濃い腹身と、すっきりした背身を食べ比べます。同じ魚でも、部位による味と食感の違いがよく分かりました。冬の北陸らしい一皿です。

強い甘みと、ねっとりした食感が印象に残ります。北陸を訪れた実感のある食材でした。

バイ貝

適度な弾力があり、噛むほどに磯の風味が広がります。塩とすだちのシンプルな味付けがよく合いました。

加能ガニ

石川県で水揚げされた雄のズワイガニです。繊細な身に、はっきりとした甘みがあります。余計な味を足さず、蟹そのものを楽しむ仕立てでした。

白子のすり流し

白子の濃さを残しながら、口当たりはなめらかです。寒い日にうれしい温かな一品でした。

キンキ焼き

身はふっくらと仕上がり、皮目には香ばしさがあります。脂の甘みがありながら、重さを感じさせない焼き上がりでした。

うに

ここから握りです。

乙女寿司の握りで印象に残るのは、シャリの軽さです。

空気を含んだようにやわらかく、口に入れると粒が自然にほどけます。酢や塩を強く感じさせず、魚の味を支える仕上がりです。「消えるシャリ」と表現したくなる感覚があります。

海老

ヤリイカ

ヤリイカは細かな仕事によって、やわらかな食感と甘みが引き出されていました。胡麻の香りが控えめなアクセントになっています。

中トロ

小肌

のどぐろ

のどぐろは脂の甘みが濃く、身はやわらか。シャリが軽いため、脂のある魚でも重くなりません。金沢で食べる意味を感じる一貫でした。

ぼたん海老の昆布締め

ぼたん海老は昆布締めによって甘みと旨味が増し、ねっとりした身とシャリがよくなじみます。

馬糞雲丹の軍艦

締めの鰻は香ばしさがありながら、身はふっくら。最後まで握りの流れを崩さない仕上がりでした。

味噌汁

飲み物はビールと、地元の日本酒「加賀の月」を選びました。穏やかな味わいで、白身や蟹の繊細さを邪魔しません。

Yummies View

5.0 / 5

能登をはじめとする北陸の魚介と、驚くほど軽いシャリ。この二つが乙女寿司の魅力です。

つまみは素材を尊重した仕立て。握りはネタとシャリの一体感があり、脂の強い魚でも軽やかに食べ進められます。

出張から戻ってすぐに金沢へ向かった甲斐がありました。

次の予約を取って帰りたくなる一軒です。冬の北陸を味わうために、また訪れたいと思います。

この店の訪問記

  1. 2回目の訪問5.0 / 5
    金沢|乙女寿司|能登の魚と軽やかなシャリ、流れで楽しむ金沢の寿司
  2. 初回訪問5.0 / 5この記事
    金沢|乙女寿司|冬の北陸を味わう軽やかなシャリの鮨